コラム

2025.01.15

舌下神経刺激療法

コラム

東京イビキクリニックです。

 

 

 

舌下神経刺激療法(舌下神経刺激法、Hypoglossal Nerve Stimulation Therapy)は、イビキや睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法の一つで、比較的新しい治療法です。この治療法では、舌下神経という舌を動かす神経を刺激することによって、睡眠中に喉の筋肉を活性化させ、気道を確保し、呼吸の質を改善することを目的としています。以下では、舌下神経刺激療法の詳細な内容について説明します。

1. 舌下神経刺激療法の基本的な仕組み

舌下神経刺激療法は、ペースメーカーに似たデバイスを使って、舌下神経に電気的な刺激を与えることで、喉の筋肉(特に舌や軟口蓋)を収縮させ、気道が閉塞するのを防ぐ方法です。

睡眠時にイビキや無呼吸が起きる原因の一つは、喉の筋肉が弛緩し、気道が狭くなったり、完全に閉塞したりすることです。舌下神経は舌の動きを司っている神経で、通常は舌を動かすことによって呼吸を助けていますが、睡眠中は筋肉が弛緩し、舌が喉の奥に落ち込むことが原因となります。

舌下神経刺激療法では、この神経を電気的に刺激し、舌や喉の筋肉を活性化することで、気道が開いた状態を維持します。これにより、イビキや無呼吸症候群の症状が軽減され、睡眠の質が向上することが期待されます。

2. 治療の流れ

舌下神経刺激療法は、まず患者様が適応かどうかの評価を受け、その後、以下のステップで進行します。

a. デバイスの埋め込み手術

治療のためには、専用のデバイスを首の下に埋め込む手術が必要です。このデバイスは、ペースメーカーに似た装置で、舌下神経を刺激するための電極を含んでいます。手術は一般的に局所麻酔で行われ、比較的簡単に埋め込むことができます。手術後、傷が治癒するまで少しの期間を要することがあります。

b. デバイスの調整

手術が完了すると、デバイスは一定の頻度で舌下神経を刺激し始めます。デバイスには、患者が自分で調整できるリモコンが付いている場合もあります。患者様は自分の状態に応じて、デバイスの刺激強度やタイミングを調整することができます。

c. 定期的な評価

治療の効果を最大限に引き出すためには、定期的に医師による評価やフォローアップが必要です。患者は治療を続けながら、デバイスの設定を調整し、症状の改善具合を確認します。

3. メリット

舌下神経刺激療法には以下のようなメリットがあります。

a. 非侵襲的な治療

舌下神経刺激療法は、従来の治療法(例えば、顎の手術や喉の切除手術など)に比べて、体への負担が少なく、回復が早い点が大きなメリットです。

b. 睡眠の質の改善

舌下神経を刺激することによって、睡眠中に気道を確保し、無呼吸やイビキを減少させることができます。これにより、睡眠の質が向上し、日中の眠気や集中力の低下を改善することが期待されます。

c. CPAPが使えない方に適応

CPAP(持続陽圧呼吸療法)などの他の治療法が効果を示さない患者や、装置の使用が困難な患者に対しても効果的な治療法です。特に、CPAPが使いにくいと感じる患者や、マウスピース治療が効果を示さない場合に、舌下神経刺激療法が有効である場合があります。

d. 快適さと利便性

CPAPのように、寝ている間に口腔内に機器を装着し続ける必要がなく、患者は快適に睡眠を取ることができます。デバイスは自動的に動作し、患者の意識に関係なく作動するため、夜間に特別なケアが必要なく、日常生活に支障をきたしません。

4. デメリット

しかし舌下神経刺激療法には、いくつかのデメリットも存在します。

a. 手術が必要

治療には手術が必要です。手術は比較的軽度なものですが、それでも外科的処置にはリスクが伴います。例えば、感染症や出血、神経損傷などのリスクがあります。患者様が手術に対して不安を感じる場合もあるため、治療前に十分な説明とカウンセリングが必要です。

b. 高額な治療費

舌下神経刺激療法は、現在のところ非常に高額な治療法であるため、経済的負担が大きいというデメリットがあります。デバイスの購入費用や手術費用が患者様に全額負担される場合が多く、保険適用外である場合、治療を受けることが難しいことがあります。

c. 効果が個人差に依存

舌下神経刺激療法は全ての患者様に同じ効果を示すわけではなく、効果が個人差に依存することがあります。例えば、神経の刺激に対する反応が十分でない方や、肥満などの別の原因が無呼吸やイビキの主な要因である場合、効果が薄いことがあります。

d. 長期的なデータの不足

舌下神経刺激療法は比較的新しい治療法であり、その長期的な効果や副作用についてはまだ十分に研究されていません。今後、デバイスの耐久性や、長期間使用した場合の影響について更なる検討が必要です。

5. 保険適応

現在、舌下神経刺激療法は一般的に保険適応外の治療法です。特に、アメリカや欧州では、この治療法が徐々に普及しつつありますが、日本では保険適用が限定的であり、多くの場合、患者様は自己負担で治療を受けることになります。しかし、睡眠時無呼吸症候群が重度で他の治療法が効果を示さない場合、将来的に保険適応となる可能性もあります。現在、研究や臨床データが増え、治療効果が証明されれば、保険適応が拡大されることが期待されています。

6. まとめ

舌下神経刺激療法は、イビキや睡眠時無呼吸症候群に対する新しい治療法として注目されています。ペースメーカーのようなデバイスを使用して、舌下神経を刺激し、睡眠中の気道を確保することができます。この治療法は、従来の治療法に比べて非侵襲的で快適な治療方法として、多くの患者に効果を示していますが、手術が必要であり、費用が高額であることなどのデメリットもあります。今後、研究が進むことで、より多くの患者にとって利用しやすい治療法となることが期待されます。

当院のHILTは治療の侵襲性やダウンタイムがより少ない点、ほとんどの患者様に照射が可能な点などでは勝っていると言えるでしょう。
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